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2020.10.28

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医療と医学研究

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医療えほんラボ共同代表の大脇と小野は、病院での臨床業務とは別に、大学では研究者としても活動をさせて頂いている。

 

 

 

医療と医学研究って何が違うの?という方もいると思うので、まずは簡単にこれらに触れた後、本題に入っていきたい。

 

 

 

医療の目的

病気を持つ患者を助けることや、健康を維持するサポートを行うことである。

 

 

もし仮に、心身的不調を感じたのなら、医療従事者による検査・治療の提供を受け、そして自分の意思に沿った治療を受けることができます。

 

医師と看護師と事務のイラスト

医学研究の目的

健康に影響する様々な因子やそれらを発見したり解決するための方法に関する特定の課題を解決することである。

 

 

医学研究の被験者が恩恵を受けられるかどうかは、その時点では明らかではなく、あくまでも将来医療を受ける人のためのものである。

 

 

要するに、前者は現存している知を利用して活かしていくのに対し、後者は新しい知を見つけるためのものである。

 

 

当然、新たな発見をすることは生易しいものではなく、研究者は常に結果を残さないといけないプレッシャーと理屈通りには進まない研究との狭間でもがいているのである。

 

研究が上手く行かない人のイラスト

 

 

そのため、どうしても結果が出やすい研究を行いがちの研究者が一定数いるのは事実であり

 

 

未来の患者のためという建前をつけた自分の実績のための研究を行っている研究者がいることも否定はできない。

 

(研究者は研究実績で評価されるため)

 

 

 

 

その上で、本日はこの話をしたい。

 

 

 

皆さんは《色覚異常》について知っているだろうか。

 

 

 

色覚異常と書くのだから、色の判別が困難?と考え、多くの方は色盲異常=色盲=色が全く分からないと勘違いをしていないだろうか。

 

 

 

お恥ずかしながら、私も以前まで、上記のように勘違いをしていた一人だった。

 

 

 

下記、日本眼科医会の解説によると

 

「先天性の色覚異常」は、「色盲」ともいわれてきましたが、「色盲」という言葉は,「色がまったく分からない」と誤解されやすいため適切な言葉とはいえません。

 

しかし、学術的に正しく,かつ,誰にも精神的負担を感じさせない新しい用語をまだ生み出せていないのが現状です。

 

通常、先天性の色覚異常というと「先天赤緑色覚異常」をさしています。

 

この場合、色の見え方や感じ方は正常色覚と異なりますが、白黒の色世界では決してありません。

 

正常色覚者とは異なった色世界を感受しているといえます。

日本眼科医会

 

 

 

要するに、全てがモノクロの世界 という訳ではなく、カラーを認知できるものの、見え方が少々異なるということだ。

 

 

 

現在では、これらを補正する方法として、アメリカの眼鏡ブランドEnChromaと塗料メーカーValsparが協力して、色覚異常の人にも緑と赤が識別できるようになる眼鏡が開発されている。

 

 

 

皆さんも、下記のような動画を一度は見たことがあるのではないだろうか。

 

 

 

色覚異常の少年が、補正眼鏡を初めてかけた際の動画である。

https://twitter.com/RexChapman/status/1197933539964203009

私はこの動画を見た時に、とても感動するとともに、ショックを受けた。

 

 

 

私がやってきた研究は、いつかこのように人を喜ばせたり、感動させたり、豊かな心に導くことができるのであろうか と。

 

 

 

我々研究者は、研究実績を優先するあまり、人を豊かにすることからかけ離れたミクロな研究に傾いていないだろうか と。

 

 

 

患者さんに触れることのできる仕事についている医療従事者であり、かつ研究者であるからこそ、できることがある。

 

 

 

もっとマクロな視点をもち、人類の医療に貢献したいと強く思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

本ラボの活動は

 

 

医療従事者や研究者として子ども達と一緒に成長してきたからこその想い

 

 

そして、養ってきた我々の感性を活かした

 

 

叡知の結晶となるよう

 

 

最高の制作物にすることを約束します!!

 

 

 

 

 

 

 

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2020.10.26

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プレパレーション ~子どもの頑張りを引き出すツール~

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プレパレーションとは、治療や検査を受ける子どもがこれから直面するであろう心理的混乱を最小限にするために

 

事前説明を十分に行うことで子どもの対処能力(頑張る気持ち)を引き出せるような環境および機会を作る活動のことを指す。

 

 

 

考えてみて欲しい。

 

幼少期、病院に連れ出され

 

「ちょっとチクッとするからね~」

 

の一言のみでいきなり注射をされてショックを受けたり怖くて暴れた経験をお持ちの方も少なくないのではないだろうか。

 

 

プレパレーションとは、そのような心理的ストレスの軽減 そして その処置自体を受け入れるための環境作りのことなのである。

 

実際のプレパレーションでは、上記のような処置前の対応のみをすれば良い訳ではなく

 

 

①病院に行く前の親からの情報による心構え

 

 

②気持ちを処置から紛らわせる行為(Distraction)

 

 

③処置後のストレス発散の場の提供(Post Procedure Play)

 

 

など多岐にわたる。

また、これらを進めるうえで、親や私たち医療者が行うべき要素として大事なことは以下である。

 

 

①子どもに正確な情報を伝えること

 → 嘘をつくと、子どもは裏切られたという感情を抱いてしまうため。

 

 

②子どもが感情を表出できる環境を作ること

 → 「嫌だ」「痛い」などの感情を否定したり誤魔化したりしないで、「チクッとするけど、~を治すために一緒に頑張ろう」など共感しつつ励ますことが大切。

 

 

③信頼関係を築くこと

 → いきなりプレパレーションをするのではなく、両親-医療従事者間でその子どもに合わせた表現を選び、理解を深めるための説明を心がけること。

 

 

 

そう、プレパレーションの目的は、決して子どもがおとなしく従順に検査や治療を行うことができるということを目指しているのではないのだ。

 

 

実際の検査や処置は痛みを伴うことが多く、子どもが痛みや恐怖心を感じずにおとなしくしていることは不可能に近いであろう。

 

 

しかし、そのような状況においても、子どもたちが前向きに頑張ろうと自分の気持ちを整理できたり

 

 

泣き叫びながら処置を終えた後に、「ママ(パパ)、今日頑張ったんだよ!」

 

 

嫌なことをなんとか乗り越えた! と自己認識することが、その後の子どもの人生において非常に重要なモノへと繋がっていくのだ。

実際のプレパレーションで用いられるツールとしては、人形(キワニスドール)を自分に見立てて処置を客観的に体験してみる手法や、処置や検査の写真を見ることによりイメージを膨らませる方法などがある。

 

 

東京キワニスクラブ 様 説明資料より拝借

 

 

 

プレパレーションはこんなにも子どもにとって重要なことであるにも関わらず

 

医療現場ではその行為に対する理解、そして人的コストが投資されていないことが多く

 

残念なことに、十分なプレパレーションが行われている病院はほんの一握りである。

 

 

小児病院であるなばまだしも、一般病院ではなかなか導入が進んでいない…というのが現実であろう。

 

 

恐らく、ジレンマを抱えている医療従事者も多いのではないか?と考え、本記事では当ラボの小野&福井が作成したMRI検査用のプパレーション動画をご紹介したい。

 

https://youtu.be/v0Imdjwl24s

 

この動画をきっかけとして、現在本邦では少しずつプレパレーション動画が発信されつつある。

 

 

 

我々は次の展開として、より子どもへの安心感を与えるために両親から子どもへと伝えるツールとして絵本に着目し、絵本によるプレパレーションを全国的に普及させるための活動に取り組んでいる。

 

 

 

本活動により、多くの子ども達の未来が明るいモノとなることを心より願っている。

 

 

 

 

 

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2020.10.24

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小児医療の問題点

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皆さん初めまして。

医療えほんラボのブログ記事ページへアクセス頂き、誠にありがとうございます。

医療えほんラボ 共同代表の大脇由樹(オオワキ ヨシキ)と申します。

 

このブログは、当ラボの活動以外にも小児医療に関する発信、そして医療に関する情報を皆様にお届けすることも目的として開設いたしました。

是非お読みいただき、情報集の場として利用いただけたら幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

健康と病

皆さんは ”健康” や ”病” に関して深く考えたことがあるだろうか。

 

自分自身ないしは身内の方が病気を患っていたり、医療現場に携わっているヒトであれば、そのような機会があるかもしれない。

 

でも、多くの方はその日がくるまで ”他人事” であり、深く考えたことがないのではないだろうか。

 

若い年齢層の方においては尚更だ。

 

 

 

一方、病院という世界には、もっと若い世代 要するに幼少期ないしは生まれながらにして、病と向き合っている子どもたちがいる

 

 

本日はそんな子どもたちの葛藤や、現在の社会における問題点について、私の幼少期の経験も交えて触れていきたい。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

ネガティブな感情の芽生え

幼少期、親に連れられて病院に行くと、私はいつも決まって、泣いていた。 そう、とにかく注射が苦手だったのだ。

 

私は血を見るだけでも血の気が引いてしまうタイプだったこともあり、注射をされると分かると大暴れ

 

医師や看護師にも呆れられるくらいの暴れようであった。

 

当時の私は、持病により定期的に通院していたのだが、中でも一番の恐怖を感じたシーンは、たくさんの医師に囲まれた時だ。

 

 

このたくさんの医師=研修医 であった訳だが、自分はこれからこの白衣の大人たちに何かされるのか…と戦々恐々。

 

小児期のこのような経験を、私は誰に打ち明けられるでもなく、自分の中にしまい込んで成長をしてきたわけだが、学校の友達はそんな経験を知る訳もなく、よく病気のことを突っ込まれ傷心したものだ。

 

 

そう、多くの子どもは、自分が病気であることの受け入れもできなければ、何故治療をしなければいけないのかも分からない。だから当然、何をされるのか見当も付かず、ただただ怖いのだ

 

 

泣いたら親が止めてくれるだろう と半べそをかいてみるのだが、この時ばかりは親も医療者に申し訳ない と、様々な感情を持った表情で子どもを押さえつける

 

 

心の安全地帯(=親との感情の共有)が担保されていない子どもに、良質な検査など行えるはずがないのに。

 

 

このように、医療従事者に対して、病気に対して、自分に対して ネガティブな感情が育っていったことを鮮明に覚えている。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

子どもを取り巻く医療環境問題

これらの問題を解決しようとしたときに、我々医療者が提案できる解決策は《子ども目線で考える》これしかないだろう。

 

しかし、こんなにも当たり前なことなのに、本邦ではこの活動が十分に行われていないのが現実である。

 

実際に、海外では子どもたちのサポートを行う国家資格(チャイルド・ライフ・スペシャリスト:CLS)が存在している一方で、本邦ではその教育機関すら存在していないのだ。

 

 

チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会

 

 

そのため、本邦で活躍しているCLSは、留学をすることで資格を取得し、帰国後にCLSとして各病院で勤務を行っている。

 

 

もちろん、このCLSが勤務している病院の子どもであれば、専門家によるケアが受けられるため良いだろう。しかし、現実的には《留学》という高い壁に阻まれ、CLSの勤務施設は34施設47名(2020年2月 *上記協会HPより)に留まっている。

 

 

*日本小児総合医療施設協議会(JACHRI)の加入施設は全36施設(記事執筆時データ)存在しているが、全国の小児医療に特化した病院であってもCLSが存在していないことが上記データからも示されている。

 

 

日本小児総合医療施設協議会(JACHRI)

 

 

健康、教育、栄養の三大要素等により算出される子どもの成長指数を表す 「The Child Development Index (CDI) 2012: Progress, challenge and inequality by Save the Children」 において、日本は最高ランクにつけている一方で、母子家庭の貧困率が高いことも問題とされており、国として抜本的な対策が十分になされているとは言えないのだ。

 

 

この背景は、子どものための施策に対する公的支出がGDPの1.3%(35ヵ国中29番目)という衝撃的な数字にあると考えられ、他国に比べて圧倒的に将来を担う子どもたちへと保証や投資を国がしていないことが理由として挙げられる と個人的には考えてる。

 

 

 

 

*****

 

 

 

それぞれの立場でできることを考える

では、私たち医療者、そして子どもの両親には何ができるのであろうか。

 

 

それはまず、どんな小さな一歩でもいいからアクションを起こし、子ども達に手を差し伸べることなのではないだろうか。

 

 

僕らが差し伸べることすらもしなければ、病に必死に立ち向かう子ども達は、その手を取る機会すら与えられないのだから。

 

 

 

子どもの心の成長には、主体的に自分なりの解答を導き出すための努力を行うプロセスで得ることができる《ポジティブな感情体験》が必要不可欠である。

 

 

 

これらの積み重ねにより、自己肯定感が高まり、いずれは様々な《理解》という次のステップへと進むだろう。

 

 

環境のせいにするのではなく、《まずはやってみる》 。

 

 

まずは、ここから始めよう。

 

 

 

子ども達の素敵な未来のために。

 

 

 

 

 

 

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